性器ヘルペスは一度発症してしまうと神経節などに潜み、疲労やストレス時に再発を繰り返してしまいます。
再発しそうなときに抗ウイルス薬を服用することで症状は軽く、早い段階で治りますが、再発のたびに薬を飲むことに抵抗のある方も少なくありません。
今回は、漢方医学でのヘルペスの考え方と、性器ヘルペスに効果のある漢方薬についてご紹介したいと思います。
漢方医学でのヘルペスの考え方とは
ヘルペスはストレスや疲労があるときに発症しますが、漢方医学ではヘルペスの症状が出ているとき、「湿熱」と考えて治療を行います。
湿熱とは:食べ過ぎや飲み過ぎなどが原因で、体内にたまり過ぎた不要な水と熱が「気」や「血」の巡りを悪くして様々な不調が起こっている状態のこと。
性器ヘルペスの症状が出ているとき、水疱・発赤・痛みを伴いますが、「湿熱」の「湿」が水疱、「熱」が発赤。痛みは患部に気血が滞るために生じるものと考えられています。
単純ヘルペスウイルスは、この「湿熱」といわれる体の環境を好むため、漢方でのヘルペス治療では「湿熱」を取り除く漢方薬を服用すると効果があるといわれています。
身体に「正気」が充実していればヘルペスは発症しない
漢方では、身体に正気が充実していればヘルペスは発症しないと考えられているようです。
「正気」と「邪気」のどちらが強いかによって、ヘルペスが発症するか、しないかが大きく分かれるんだとか。
「邪気」とは、体に悪影響を与えて病気を招く要因となるもの
「正気」とは、その悪影響に抵抗して病気を治そうとする自然治癒力のこと
※この場合の「正気」は自己免疫力で、「邪気」はヘルペスウイルスを指す
では、性器ヘルペスを発症する人はどんな人が多いでしょうか?
男女ともに20代以降の性的活動が活発となる年代に多くなっているようです。漢方では、身体に正気が充実していればヘルペスは発症しないと考えられていますが、正気が充実している若い年代に性器ヘルペスを発症する人が多いのはなぜでしょうか。
性器ヘルペスの再発を繰り返している若い年代の身体は「邪気」にとって好まれる環境であることが関係しているようです。
邪気が好む体の環境とは、先ほどお話した「湿熱」を生じやすい環境です。
湿熱とは、食べ過ぎや飲み過ぎなどが原因で、体内にたまり過ぎた不要な水と熱が「気」や「血」の巡りを悪くして様々な不調が起こっている状態のことでしたね。
暴飲暴食、ジャンクフード、油もの、味の濃い食べ物の過剰摂取や、水分やお酒の過剰摂取は「湿熱」の主な原因となります。
こういった身体の状態にストレスや睡眠不足などが加わり正気が少なくなることで、正気は邪気を追い払うことができず、性器ヘルペスを発症させてしまうことになります。
女性の性器ヘルペスは「肝熱」も原因となる
女性の場合、排卵時期から生理開始まで「肝熱」が生じやすくなるといいます。
「肝熱」とは、肝(肝臓)に溜まった熱のことで、肝臓は気の流れを調節したり、体の必要な場所に血液を送ったり、ストレスを受け止めたり、体内に入ってきた毒を無害化するという働きがありますが、現代人の不規則な生活習慣やストレスなどで「肝熱」が溜まり、身体に様々な症状が現れます。
この「肝熱」が溜まりやすい排卵時期から生理開始までに疲労やストレスが溜まると「湿熱」が発生しやすくなり、ヘルペスの再発を繰り返すということになります。
性器ヘルペスに効く漢方薬はあるの?
性器ヘルペスに初感染したときは抗ウイルス薬を服用する必要がありますが、初感染後に再発を繰り返しやすい場合、再発予防として漢方も利用する方も多いです。
性器ヘルペスは疲労や心身のストレスなどで免疫力が弱まっているときに再発しやすいため、免疫力を高める働きのある漢方薬が有効です。
また、月経周期に合わせて再発しやすい人は「湿熱」を除く漢方薬を服用すると効果があるといわれています。
- 「湿」を除く効果がある二妙散(にみょうさん)、三妙散(さんみょうさん)
- 「熱」を除く効果がある黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
- 脾胃を健全に保つ香砂六君子湯(こうさりっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 免疫力を高める冬虫夏草(とうちゅうかそう)、霊芝(れいし)など
市販の漢方薬もありますが、個人の体質や症状に合わせて処方してもらえる医療機関や、漢方薬局などで相談してみるとよいと思います。
また、「体の中に正気が充実していればヘルペスは発症しない」ということを忘れず、食べ過ぎ・飲み過ぎに気を付けてストレスや疲れを溜めない生活を心がけることも大切です。
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